Study (Fujikawa Lab.)


我々のグループでは主にX線吸収分光(XAS)とX線光電子分光(XPS)について研究しています

そもそもX線とは? → 非常にエネルギーの高い光(電磁波)

物質は吸収する光のエネルギーに応じて、その反応が異なります

赤外線:分子や固体の振動が激しくなる         → 物質表面に吸着した元素の情報など
紫外線:分子や固体全体に広がった電子が飛び出す → 分子軌道の状態や電気伝導性の詳細な情報など
X線  :原子に局在した電子が飛び出す         → 原子レベルの情報(電子状態や周囲の構造など)

我々はXAS、XPSで物質を調べるだけでなく、理論的にその機構を解明したり、新しい利用法を開発しています

X線吸収分光(XAS)

X線のエネルギーを変化させて、物質がどの程度X線を吸収したかを測定する手法です。
得られる情報としては吸収原子の隣に位置する原子の距離やその数、また吸収原子の電子状態などがわかります。 この手法の特徴は元素によって吸収するX線のエネルギーが異なるため、多くの元素で構成された物質でも調べたい元素だけの情報が得られます。
さらには原子軌道もそれぞれエネルギーが異なり、どの軌道の情報を得るか選択することができます。
さらにさらに原子による吸収なので、極微量に含まれた元素も検出できます。

→ つまり知りたい元素や軌道を狙い撃ち!

じゃあXASって完璧じゃん! → ところがどっこい、そうは問屋が卸しません。

X線を吸収する機構は複雑なプロセスを伴うため、実験データを見ただけで分かるケースは少なく、未知の現象が起きていることもあります。
そこで、考えられる物質の状態(モデル)を仮定し、理論計算によって実験データを解析する必要があるのです。
この理論計算の部分については、まだまだ改善の余地があるため、我々も日夜挑戦を続けています!
また理論の側から「実験データから○○が得られるのでは?」という提言をすることで、新しいXASの利用法についても日々模索しています!

XASにもいろいろ種類があります
X線吸収微細構造(XAFS)    :主に線偏光X線を用いたXAS
X線吸収端近傍構造(XANES)  :XAFSにおいて、吸収が始まる(吸収端)エネルギー近くの領域
広域X線吸収微細構造(EXAFS):XANESよりも高いエネルギー領域のXAFS
X線磁気円二色性(XMCD)    :円偏光X線と磁場を用いて、円偏光の左右の吸収の差を測定する手法

X線光電子分光(XPS)

XASではX線の吸収量を測定しましたが、XPSではX線によって飛び出た電子(光電子)の速さとそのときの光電子量を測定します。
この光電子は吸収原子の周りにいる原子に散乱されます。つまり原子にぶつかって光電子の向きが変わったり、光電子の速度が変わったりします。そうすると固体表面から深いところで光電子が飛び出しても、表面の外まで到達できません。
そのためXPSは非常に高い表面敏感性を持ちます!表面の研究に持ってこいです!
もちろん元素・軌道選択性はXPSでも健在なため、どれくらい元素の電子状態が変化しているか、どの元素が電気伝導性を担っているか、などを調べることができます。
しかしXPSもXASと同様に複雑な効果が現れており、まだまだ理論的に解明すべきことが残されています。
我々の研究室ではXPSに現れる複雑な効果の一つである「プラズモン」について注目しつつ、XPSに関する理論を日夜研究しています!
またこのプラズモンが奥深くて…興味のある方は是非研究室へ!

XPSの仲間としては光電子回折(XPD)があります
XPD:捕まえる光電子の速さは固定して、代わりに飛び出た光電子の角度とその量を測定する手法
近年では固体だけでなく気体の分子に対しても測定が行われ、我々も解析を行っております。

Last update:2014/5/11